PCR陰性なら、まずコロナウイルス 感染ではない!

PCR検査の感度は(根拠はよく知りませんが)0.7くらいと言われている。特異度はわからないが、いろいろな理由である程度は偽陽性は出るでしょうから、とりあえず0.9としてみます。

 

PCR陰性の時にコロナウイルス 感染の確率はP(C|N)=P(N|C)P(C)/P(N)

P(N)=P(N|C)P(C)+[1-P(C)]X0.9

P(N|C)=0.3なのでP(N)=0.3P(C)+[1-P(C)]X0.9=0.9-0.6P(C)

したがってP(C|N)=0.3P(C)/[0.9-0.6P(C)]

P(C)が1万人に1人だと、検査が陰性の時コロナ感染者である確率は3万分の1

 

事前確率が低い時、陰性なら陰性と言って良い。偽陰性が3割でも、陰性の時3割間違うわけではない。

コロナウイルスPCR陽性でも感染者とは限らない

日本に10000人のコロナウイルス感染者がいて、日本人全員(面倒なので1億人とします)に以下のようにPCR検査を行なった場合

 

感度と特異度を99%とすると(あり得ないほど精度を高く設定しても)

検査陽性者は10,000X0.99+100,000,000X0.01=0.99+100)×1万人

検査結果が陽性の場合でも、コロナウイルスに感染しているのは100人に1

(1人ではなく、0.99人だろうというツッコミはやめてください)

 

日本に10万人のコロナウイルス感染者がいても、検査結果が陽性の場合でも、コロナウイルスに感染しているのは10人に1

 

検査結果が陽性の時コロナウイルスに感染している確率P(C|P)は以下の式となります

P(C|P)=P(P|C)P(C)/P(P) 

陽性率は P(P)=P(P|C)P(C)+{1-P(C)}X{1-特異度、=偽陽性}

事前確率P(C)が低い時にベタなスクリーニングは無意味です

PCR検査陽性率が4割に迫ろうかという一部の地域は例外です。ここでは抗体検査をした方が良いという意見があります)

 

「無作為な大規模検査は現場としては全く必要としていない」という澁谷泰介さんの意見に全く賛同します。「無作為な大規模検査」は日本国として全く必要としていません。

 

どうしようもないヒトの見分け方:コロナウイルスに対する不安だけをあおるヒトたち

2ヶ月前に「ベタなPCRスクリーニングはしてはいけない」と書きました。どう考えても「当たり前のこと」としか思えませんでした。きのう澁谷泰介さんの文章を読んで涙が出そうになりました。誠実に取材を受けた医師のコメントを某民放(名前を口にしたくもないので、某としました)は明らかな改ざんを行なったのです。これは犯罪レベルではないでしょうか。「無作為な大規模検査は現場としては全く必要としていない」—これは常識レベルのことかと思っていましたが、はっきり言ってくれるヒトは意外と少ないのかもしれません。本当のことを言うと「数字」が取れないのでしょう。

 

ここ2ヶ月間でハッキリ分かったことが2つあります。この2点だけで人物鑑定が確実にできます。PCR検査を増やすより、以下の2項目スクリー二ングを増やした方が良いのではないでしょうか。

(1)PCR検査を増やせというヒトは信用できない

(2)マスク、マスクという人も信用できない

 

コロナウイルスも煮つめることができるはず

P(C|P)=P(P|C)P(C)/P(P) 

煮つめて事前確率P(C)を上げるしかない

逆に言うと検査対象者を絞るしかない(ハイリスク群を検査する)

感受性0.5、特異度0.9として

P(C|P)=0.5P(C)/0.4P(C)+0.1

P(C)=100人に一人ならP(C|P)=約20分の1

データを持っている施設なら「P(C)=100人に一人」まで煮つめることができるはず?!

それでも20人に一人か また疲れてきました 

 

ちょっと待ってください 

ダイアモンドプリンセスでは当初P(C)=200人に1人とか言ってなかったか?P(C)=100人に一人としても全員を検査した場合、検査陽性者のうち20人に1が真の患者

臨床所見でどれくらい煮込めていたのでしょうか?

アヒージョは具材によって、煮込む時間を適切にすることが味の決め手

それともダイアモンドプリンセスの調理場には煮込み鍋はなかったのか?!

 

 

臨床家はインフルエンザ診断にベイズを無意識に使っている

世間でインフルエンザが流行っているから、流行期には何も考えず(自動的に)綿棒を鼻に突っ込んで検査をするのではない。世間でインフルエンザが流行っている(事前確率が高い)から、検査が陽性の時インフルエンザの確率が高い(事後確率が高い)のである。10人中一人の頻度でインフルエンザがある時、感度と特異度を仮に0.9とすると陽性となる確率は1.8/10、陽性の約半分しか真の患者はいない。当てずっぽうでは10分の1なので、検査をした方が5倍くらい正確(ただし、感度と特異度がある程度良いことが前提)。

 

コロナウイルスPCRの感度が50%という数値もある。特異度を0.9として、患者数を多く見積もって1万人に一人としてみよう。検査陽性の時にコロナウイルス感染者である確率は約2000分1となる。どうする?どうしようもないのか!当てずっぽうでは1万分の1なので、検査したことで5倍濃縮にはなっている。めんつゆなら十分だが、臨床的にはもっと濃縮する必要がある。リスクの低い1万人を検査するのではなく、この1万人からハイリスクの1000人が検査の適応とまで「臨床的に」濃縮する必要がある(何倍濃縮する必要があるのか、できるのかは不明です)。1000人に1人がコロナウイルス感染者なら。陽性者100人中1が真の患者となる。この100人を一箇所に隔離してもムダということは直感的に明らかです。そんなことしたら患者でない最大99人にコロナウイルスが感染するかもしれない。

 

疲れてきた あとは明日また考えてみよう

 

 

コロナウイルス検査をする方が、検査をしないより危険?

低リスクの集団をベタにスクリーニングすると陽性反応が出ても、本当の病気のヒトは100人に一人とかになって(数字は状況によって変わりますが)、(検査が陽性でも)ほとんどはその病気ではありません。しかし、陽性と出た以上なんらかの対応を普通するでしょう。そうすると一人の病人と99人の病気でないヒトが同じ区域に隔離されるというような状況がありえます。もう少し(多分)現実に近ずけて、一人の病人と2人の(症状はあっても)その病気ではないヒトを、各人は個室でも同じ区域に隔離するということはありそうです。そこでは検査をしなかったヒトより(検査をしてしまったがために)感染リスクが増大するという可能性が出てきます。この悪循環が連鎖すると、PCR塩基配列が指数関数的に増加するように、病気が爆発的に増加するかもしれません。ひょっとするとどこかの国とどこかの船ですでに起こったことかもしれません。これもPCR効果(倍々ゲーム)なのでしょうか。

コロナウイルス検査陽性でもコロナウイルス陽性ではない。どうする?

インフルエンザA型ウイルスに対して鼻腔ぬぐい液をウイルス分離培養した結果を真の感染とした場合、通常使用されている簡易キットでは

陽性例106例中簡易キットでは100例が陽性→感受性は94%

陰性例196例中簡易キットでは187例が陰性→特異度は95%

という数字がある

 

臨床的に8割はインフルエンザだなと思った時にこの簡易キットを用いて検査をする状況で、 10人中8人がインフルエンザの集団にこの検査をすると考えて良いのでは。

ここで陽性と出るのは

8X0.94+2X0.05=7.5+0.1=7.6人

つまり検査結果と実態はほぼ一致する

 

それでは10人中1人がインフルエンザの場合は

1X0.94+9X0.05=0.94+0.45=1.39人

それほど極端な乖離ではない

 

先ほど私が検査した受診者では(臨床的にはまずインフルエンザの可能性はないのに、ついやってしまった—愚かしい行為です)、おそらく確率は100分の1以下?

1X0.94+99X0.05=0.94+4.95=5.89

検査が陽性に出ても本当にインフルエンザの確率は6分の1程度

陽性という結果が出なくてよかった(20分後に出た結果は陰性でした)

 

日本に1000人のコロナウイルス感染者がいて、日本人全員に同じ感度・特異度の検査を行なった場合

1000X0.94+100000000X0.05→1X0.94+100000X0.05=0.94+5000=5000.94

検査結果が陽性の場合、コロナウイルスに感染しているのは5000人に1人

 

感度と特異度を99%とすると

1X0.99+100000X0.01=0.99+1000=1000.99

検査結果が陽性の場合、コロナウイルスに感染しているのは1000人に1人

 

感度と特異度を99.9%とすると

1X0.999+100000X0.001=0.999+100=100.999

検査結果が陽性の場合、コロナウイルスに感染しているのは100人に1人