臨床家はインフルエンザ診断にベイズを無意識に使っている

世間でインフルエンザが流行っているから、流行期には何も考えず(自動的に)綿棒を鼻に突っ込んで検査をするのではない。世間でインフルエンザが流行っている(事前確率が高い)から、検査が陽性の時インフルエンザの確率が高い(事後確率が高い)のである。10人中一人の頻度でインフルエンザがある時、感度と特異度を仮に0.9とすると陽性となる確率は1.8/10、陽性の約半分しか真の患者はいない。当てずっぽうでは10分の1なので、検査をした方が5倍くらい正確(ただし、感度と特異度がある程度良いことが前提)。

 

コロナウイルスPCRの感度が50%という数値もある。特異度を0.9として、患者数を多く見積もって1万人に一人としてみよう。検査陽性の時にコロナウイルス感染者である確率は約2000分1となる。どうする?どうしようもないのか!当てずっぽうでは1万分の1なので、検査したことで5倍濃縮にはなっている。めんつゆなら十分だが、臨床的にはもっと濃縮する必要がある。リスクの低い1万人を検査するのではなく、この1万人からハイリスクの1000人が検査の適応とまで「臨床的に」濃縮する必要がある(何倍濃縮する必要があるのか、できるのかは不明です)。1000人に1人がコロナウイルス感染者なら。陽性者100人中1が真の患者となる。この100人を一箇所に隔離してもムダということは直感的に明らかです。そんなことしたら患者でない最大99人にコロナウイルスが感染するかもしれない。

 

疲れてきた あとは明日また考えてみよう